2017年度日本のアドベリフィケーション調査レポートについて

本レポートは、国内におけるアドフラウド、ブランドセーフティー、ビューアビリティーの状況を正しく理解することを目的に、グローバルでアドベリフィケーションツールを提供するIAS社と、日本国内で唯一アドベリフィケーションツールを提供するMomentum社の2社による共同調査の結果をまとめたものです。

調査会社について
momentum

Momentum は、アドフラウド対策やブランドセーフティーにおいて、世界最高水準の認定団体であるトラストワージーアカウンタビリティグループ(Trustworthy Accountability Group:以下、TAG)より認定を受けた国内初のアドベリフィケーションカンパニーです。国内で唯一の独自技術でアドフラウド対策を実現した「BlackHeron」、業界業種ごとの広告配信においてそれぞれに適したブランドセーフティーを実現する「BlackSwan」を提供しています。東京工業大学の精密工学研究所の協力により、高度な機械学習を用いることで、英語などと比べて解析が困難な「日本語」に特化した言語解析技術を基盤に、日本のデジタル広告業界の健全化への取り組みを牽引しています。

ias

IAS(Integral Ad Science)は、ウェブ広告の価値毀損測定で世界最大手のグローバル・テクノロジー企業です。アドベリフィケーション計測ベンダーとして最多となるデスクトップ・モバイル・ディスプレイ・動画ビューアビリティー、および不正インプレッション検知(Sophisticated Invalid Traffic)全てでMRC(Media Rating Council: メディア調査会社の監査や認定審査を行なう米国の業界団体)の認定を得ており、トラストワージーアカウンタビリティグループ(Trustworthy Accountability Group:以下、TAG)、オーディットビューローオブサーキュレーションズ(Audit Bureau Circulations:英国のメディア、広告プラットフォームの信頼性を認定する業界の監査団体)からも認定を得ています。

日本と世界のアドフラウド比較

主要各国のプログラマティック広告取引におけるアドフラウドの割合はIAS社の調査によると8.6%でした。対して、日本の数値はIAS社の調査では8.4%、Momentum社の調査では9.1%となっており、数値としては主要各国と比較してみると大きな差はないようです。

momentum
momentum
調査について

プログラマティック広告の取引においてIAS、Momentum各社のアドフラウド対ツールのフィルタにより検出されたアドフラウドと疑われるインプレッションの割合を算出したものです。対象デバイスはスマートフォン、PC両方で、動画を除くディスプレイタイプの広告を調査対象としています。

日本と世界のブランドセーフティー(リスク比較)

主要各国のプログラマティック広告取引におけるブランド毀損リスクのある広告の割合はIAS社の調査によると8.6%でした。対して、日本の数値はIAS社の調査では6.7%、Momentum社の調査では11.2%となっており、数値に開きがあるようです。両社の数値の差の理由として、ドメスティックなサービス提供をおこなうMomentum社のツールでは、巨大掲示板やまとめサイトなどの日本独自のサイトカテゴリもブランドリスクフィルタの検出対象に含めているため、グローバルと比較して高めの数字が観測されている可能性が考えられます。

momentum
momentum
調査について

プログラマティック広告の取引においてIAS、Momentum各社のブランドセーフティーツールのフィルタにより検出されたとブランド瑕疵リスクがあると疑われるインプレッションの割合を算出したものです。対象デバイスはスマートフォン、PC両方で、動画を除くディスプレイ広告を調査対象としています。

フィルタ基準
  • IAS:アダルト、アルコール、ヘイトスピーチ、違法ダウンロード、違法薬物、不快な表現、暴力
  • Momentum:R指定コンテンツ、匿名掲示板、著作権侵害コンテンツ、ネガティブコンテンツ、性的表現、ポイントサイト、ブランドネガティブコンテンツ

日本と世界のビューアビリティ比較

主要各国のプログラマティック広告取引における広告枠のビューアビリティはIAS社の調査によると52.8%でした。対して、日本の数値はIAS社の調査では54.8%、Momentum社の調査では41.0%となっており、数値に開きがありました。ビューアビリティーは広告枠の設置箇所に大きく依存する点が強いことから、両社の数字を単純に比較することは困難ですが、日本は主要各国と同程度の水準、またはそれ以下だと考えられます。。

momentum
momentum
調査について

プログラマティック広告の取引におけるビューアビリティーをIAS、Momentum各社で調査したものです。メディア調査会社の監査や認定審査を行なう業界団体である米Media Rating Council(MRC)が米広告業界団体IABとともに策定したビューアブルインプレッションのガイドライン(広告表示領域の50%が1秒以上表示されたもの)を基準にしています。

参考:MRC Viewable Impression Guidelines https://www.iab.com/guidelines/iab-measurement-guidelines/#mrcviewable

日本のデバイス別アドフラウド率

Momentum社の調査によると、国内のプログラマティック広告取引において検知されたアドフラウドと疑われるトラフィックをデバイス毎でみると、PC向けの広告配信におけるアドフラウド率が15.4%と、他デバイスと比較して高いアドフラウド率が観測されました。理由としては、機械的なトラフィックを作り出すために広く用いられている幾つかの手法についてはアプリ面ではなく、Web面での実装が容易であること、PCユーザー向けのクリックインセンティブ付きのサイトが国内で広まっていることなどが考えられます。

momentum

調査期間:2017年10月度
調査母数:国内のディスプレイ広告のインベントリを中心に6億インプレッション強

日本のカテゴリ別ブランドセーフティー(リスク率)

Momentum社の調査によると、国内のプログラマティック広告取引において検知されたブランド瑕疵のリスクのあるコンテンツ属性の内訳は、性的表現のカテゴリが51.2%と半数以上を占めており、次いで匿名掲示板やまとめサイトなどのCGM(Consumer Generated Media 略:消費者生成メディア)が24.9%という結果が観測されました。ブランディングにおいて最も配慮すべきカテゴリの1つとも言える未成年に悪影響を及ぼすような性的表現を含むコンテンツへの広告ブランドリスクが半数以上を締めているという現状が浮き彫りとなっています。

momentum

調査期間:2017年10月度
調査母数:国内のディスプレイ広告のインベントリを中心に6億インプレッション強

IAS社の調査によると、海外と比較すると、国内のブランド毀損リスクは「ヘイトスピーチ」が顕著で、「不快な表現」や「暴力」、「アダルトコンテンツ」の割合は海外と同程度です。ただし、IAS社は対応している40カ国の言語全てにおいて国ごとの文化や公序良俗の定義を加味した上でリスクカテゴリのモデルを構築しており、左記の結果は「日本はヘイトスピーチのコンテンツが多い」という訳ではなく、「ヘイトスピーチに対する感度の高さ」を反映していることを示しています。

momentum

調査期間:2017年1月~6月

日本の動画マーケットインサイト

日本において昨今注目を浴びている動画マーケットにフォーカスし、アドフラウドとビューアビリティーのベンチマークとなる数値を調査しました。IAS社の調査によると、プログラマティック広告における全クリエイティブのなかで、動画広告タイプの取引におけるアドフラウドとビューアビリティーはディスプレイ広告と比較すると右記の通りとなりました。

まずアドフラウド(不正インプレッション)です。海外では高CPMを意図的に狙うボット業者の動きにより動画広告での発生率が高くなりがちですが、国内においてはソーシャルプラットフォームやプレミアムネットワークの比重が高いため、動画広告のほうが低い結果となります。

次にビューアビリティーですが、動画広告はグローバルでも標準的にディスプレイより高いビューアビリティの水準になり、このトレンドが国内のデータにも見受けられます。

momentum

調査期間:2017年10月度
調査母数:国内のディスプレイ広告のインベントリを中心に6億インプレッション強

ホワイトペーパーを読む
Top